2005/08/15

風味堂@ひたちなか!

今年新しく作られたステージ、『サウンドオブフォレスト』
そこのこけらおとしが風味堂だった。

今回マボロシの為に参加を決めたRIJFで、
なんで初日まで4時起き日帰り強行軍で参加を決めたかというと、
そりゃもちろん初日に見たいバンドが山ほどいたからなのだが
引き金を引いた決定打は風味堂だった。
��実際は真心もなのだが結局観なかった為・汗)
もう大正解。
あの瞬間、あのステージを見ることができたおかげで
私の夏フェスは最高の幕開けを迎えそして、最高の気持ちのまま終わった。


ステージへ続く細い道を小走りで進んでいると、聞こえてきたのが
『もどかしさが奏でるブルース』だった。
跳ねるベースとドラム、そしてピアノ。
手を上に挙げて飛び跳ねながら逸る気持ちを抑えきれない。
小道を抜けて視界が開けた先に、そのステージがあって、彼等がいた。

グラスステージの何分の一だろう。その小さなステージには
笑顔の3人がいて、それを大喜びで見てる一部の客がいて、
様子を伺うように少し離れて見てる大勢の客がいた。
きっと、風味堂を観た事がない人ばかりだったんだろう。
だからこそ、彼等の引力を思い知った。

ライブが進むごとに、人が増えていく。
ライブが進むごとに、人が笑顔になっていく。
ライブが進むごとに、前列だけだった手拍子が後ろに伝わっていく。

��曲目の『ナキムシのうた』からは猛スピードで観客を掴んでいった。
キャッチーなサビを、皆で合唱する。
��番の時はファンの子達しか歌えなかったけれど、
��番になったら声が大きくなった。
最後の大サビはフォレストを包む大合唱になった。
鳥肌が立った。今、ここにいる人たち皆が彼等のライブを楽しいと
思っているんだと思った。
風味堂を観たのが初めてだという人が大多数だったはずの
サウンドオブフォレストで、あの瞬間彼等は間違いなく人気バンドだった。
遅れてきた人は皆『風味堂って人気だな』と思ったに違いない。
前列にしかいなかったファンの子達の『好きの波』が
風味堂の出したサウンドに乗ってサウンドオブフォレスト全体を包んだ。

最後の『ゆらゆら』でゆっくりと身体を揺らしてクールダウン。
たった6曲の短いステージの間に山ほどの笑顔を咲かせて
風味堂はステージを去って行った。
あちこちから『よかったね』という声が聞こえた。
彼等はこけらおとしには最高のバンドだった。
野外に映える跳ねた音は、沢山の人を惹きつける引力満ちてた。
初めて見たチッタのフリーライブから4ヶ月。
あのころから彼等はライブバンドだとここでも書いていたけれど
あのときよりもずっとずっと魅力的なライブをやるようになっていた。
来年は人気がでてレイクステージになるかな、なんて考えた。
だけど彼等のライブの根元にあるものはきっとどこのステージでも
ゆるぎないものであり、観客を笑顔にしてから帰るんだろう。



2005/08/07

マボロシ in ROCK IN JAPAN

マボロシを知らない人はもちろん知らない事実であり、
マボロシ目当てで今日という日を楽しみにしてきた人さえ忘れてる事。


彼等が未だアルバム1枚しか出していない新人であり、
ライブは結成してから今回で10回目であること。


あの場にいる誰もが彼等に圧倒され、意識を引き上げられ、
否応無しに熱に巻き込まれていた。
��月8日午後2時。真夏の、一番暑い時間に、
ひたちなかの最も暑いステージに彼等は現れた。
大きな気合入れの声が聞こえた。
すげえ、とそれだけで思ってしまった。
彼等はどれだけ今日のライブを楽しみにしていたんだろう。
クンゴさんのブログや大自然さんの日記、よしさんの日記を
こっそり読んでからずっと思っていたのだけれど。


まず、マボロシバンドの面々が登場。
さっき一度サウンドチェックに現れていた事もあって
ピリピリとした緊張感よりも、どこか楽しそうなリラックスした表情。
マボロシ公式BBSで知り合ったricoさんと一緒に
クンゴさん、大自然さん、よしさんの順に名前を呼んだ。
今までどのライブに行ってもメンバーの名前を呼ぶことはあまりない。
��ゴスペラーズのライブで客演で出てきた師匠を必死に呼んだり
同じくゴスペラーズのライブでサポDJのばりK~んを呼んだくらいか。
ゴスペラーズを呼べよ、私)
マボロシには、私のリミッターを外す何かがあるらしい。
ちなみに大ちゃんを呼ぶのが最後になったのは、
彼が一度奥へ引っ込んだから。
どうやら楽器を忘れたらしい。そういうところも大好きよ。

満を持してタケさん登場。
ギターを構えたところで大歓声が起き、そして坂間さん登場で
客席はすでに沸点に突入。
『泥棒』のイントロが奏でられたところで客席のエネルギーは爆発し
サビ(HOOKというべきか?)は泥棒の大合唱。
��ヶ月ぶりのマボロシサウンドは、変わらずに厚くて極太だと
一曲目だけですぐに安心した。
その後、名リフが唸って『THE ワルダクミ』。
歌詞に『ひたちなか』という単語を入れて、客を煽る。
モッシュ禁止という制約の中、全力で音を感じてる客を更に更に上へ。
ギターソロが青空に突き抜けていく様は壮観だった。
狭くて薄暗い箱の中でしか彼等を観ていないから、
こんな青空の下は似合わないなんて思っていたけれど。
タケさんは。タケさんのギターは。
本当に開放的というか突き抜けていくというか。
それはバタ犬の時から思っていたのだけれど、本当に野外に映える音なのだ。

次は、『マボロシのほし』
マボロシの楽曲の中で私が最も好きなもの、そして
��月のAXライブのあと、『夏フェス楽しみにしててね』と
サポメンさんからのメールの返事に書いてあった時から
ずっと、ずっとこの場所で聞くのを楽しみにしていた曲。
この曲を聴くたびに浮かんでくる青い空は、ここにあった。
今までのどのライブよりも派手なよしさんのパフォーマンス。
��人で顔を見合わせて笑顔を絶やさないまま
最高のグルーヴを放つクンゴさんと大ちゃん。
『あっちいなあ』って感じで苦笑しつつ気持ち良さそうな大自然さんに
どこまでも響いていきそうなタケさんのギター。
サビで客が一斉にタオルを振り回す。
坂間さんが嬉しそうににやっと笑う。
全員で『ピース』と叫んだ声が空に溶けていった。
地球の片隅で叫んだピースが地球に溶けていく。
どこか祈るような気持ちになって、曲が終わった。
阿呆みたいな話だが、泣いてた。多分、幸せで泣いてた。

��C陣を一人ずつ呼びいれて、『ブレーメン』
タワレコのライブでやったって聴いた時は
��MVを選択した自分を恨んだものだが、ここで聴けて本望。
こうして並ぶと改めて全くタイプの違う4人だなあと。
心底楽しそうなCHANNELに、貫禄のK.I.Nさん。
いつもいっぱいいっぱいな感じのCUEZEROに、最強の坂間さん。
この陽気なパーティーチューンで客はますます笑顔になり、上がっていく。
カズーの音は野外に気持ちいいんだ、また。

CUEZEROだけステージに残って、『マジでハンパない!』コール。
やっぱり。やっぱりKREVAが来てくれた。
この人はもう、どれだけ坂間さんが好きなんだかわからない。
どれだけタケさんが好きなんだかわからない(ラップまでさせるし!)
一番身近なマボロシファンなんだと思う。ファン代表。
KREVAがステージに上がると、坂間さんの目が鋭くなる気がする。
カワイイ後輩であり、体等なライバルなのだろうか。
『ファンキーグラマラスPart1』は、フロウのぶつかり合いに
楽器の音が乗るという感じで、完全に声が際立っていた。
KREVAのトラックのマボロシアレンジ、凄く気持ちいい。
KREVAが大事にしてるビートが全く壊れてない。

『おせちもいいけどカレーもね!』の8月5日の
ライムスターのステージでの師匠の言葉から延々と続いていたカレーネタ。
『次もカレーです』だの『お前ら何食いたい?』『カレー!』だの
某カレーミュージアムと仕事してる自分にとっては
物凄く耳の痛いMC連発だったが、ここにきて漸く『冷やし中華』
AXのアンコールだった『HARDCORE HIPHOP STAR』
聴けば聴くほどはまるこの曲は、ライブの終わりをイメージさせる。
目の前で歌う坂間さんや、泣きのギターのタケさんの向こうに
制作過程やライブリハのワンシーンが垣間見える気がした。
ゆったりと身体を揺らしながら心臓がどくんと痛む。
今、ここにいることがどれほど貴重な事か。
この瞬間を自分がどれだけ楽しみにしてたのか。
嫌というほど思い出す。
何一つ見逃しちゃいけない。何一つ忘れたくない。
意識がステージに集中する。
大自然さんのスクラッチ、クンゴさんと大ちゃんの呼吸。
よしさんのヘッドバンキングにタケさんのギタープレイ。
そして、坂間さんの声。
この曲の間だけはニュートラルにステージを観たいと思った。
次に来るだろうあの曲はきっと暴れて笑って終わってしまうから。

そしてラストの曲。
私にとって、マボロシはこれが始まりだった(そもそもデビュー曲だしな)
『Slow down!』モッシュ禁止だけど止まらない。
それでもあの場にいる皆はギリギリで理性を持っていた。
AXよりも全然余裕がある。できるだけ上に、上に皆が飛んでた。
『ここでくたばってもいいと思ってる』と坂間さんが何度も口にしていた。
事実、きつそうだった。
倒れちゃうんじゃないだろうかってくらいきつそうだった。
だけど、客の反応に坂間さんは満足気に笑い、更に私たちを煽った。
タケさんのギターが沸点を迎えたように唸った。
皆、機材大丈夫なのかってくらい暑い暑い中で
マボロシバンドはそれ以上の熱をステージから放っていた。
少しもたゆむことなく、ぴんと張り詰めたまま。
この集中力と熱がライブの最後まで持つのは凄いとあとで気付いた。


全てを出し切ったマボロシの10回目のライブは幕を下ろし、
レイクステージに涼しい風が吹いた。
スタンディングゾーンから戻る客の誰もが笑顔で、どこか呆けたような感じで。
あの巨大な熱のカタマリはひたちなかの青空に舞い上がって消えた。


これが、10回目のライブなのか。
それぞれにキャリアはあるとしても。
これが結成10回目のライブなのか。

パズルみたいに一人一人がきっちりはまってる。
超ベテランバンドみたいな息の合い方してるのに、
やってるメンバーはとても新鮮で楽しそうで。
こんな強い新人ライブバンドを私は知らない。
マボロシ2人だけじゃなく、それを支えるバンドの4人が凄く強い。
皆それぞれ自分のバンドやグループ持ってやってるとは思えない。
マボロシのために存在しているような、そういう太さがあると思った。
サポメンとの出会い含めて全てが運命で。
��人揃ってこそのケミストリーが『マボロシ』なんだと改めて思った。