2005/05/16

やさしいライオン

中村一義改め100S。

私の中で中村一義は『金字塔』で止まってる(=その後の作品聴いてない)
わけだが、バンドになったってので100Sの『OZ』を聴いてみた。
ちなみに、私が『金字塔』聴いたのは発売当時だったので
幼かった私には彼の世界は難解すぎた。

『金字塔』の印象ががらがら崩れた。恐ろしくよかった。
これはほんとにこのメンバーだからこそのケミストリーだなあと。

中村一義ってのは、自分の中で確固たる理想の世界ってのがあって
それを一人で、誰も介在させずに築いているというイメージがあって。
だから、彼がバンドを組むってことが物凄く意外だったんだけど
組んだら組んだでワンマンバンドかなあと思って聴いた。
そしたら、本当に『バンド』でまずそれに面食らった。
明らかに池ちゃん(池田@バタ犬@アフロ)の影響受けてる曲とかあるし
メンバーが誰一人埋もれてないし、
中村一義が突出しきってるわけでもない。

構成が複雑怪奇だったり歌詞が聞き取れない声だったり
私が知ってる中村君らしさは相変わらずだとも思ったけど、
彼は彼だけの世界を作るのをやめて、
彼を理解してくれる人たちを理解して、皆で世界を創るようになったとそんな風に思った。
何があったのかは知るよしも無いが、彼に新しい風が吹いて
そしてそれは凄くよい変化だったのではないかと。


んで、一番好きなのがこのエントリのタイトルの『やさしいライオン』。
泣けて泣けてしょうがない。
キャラが違うけど、これはもうどうしようもなく泣けるのだ。

「もういないあなたを明日へと送るから。」
「逢いたいならば夜空またいで、逢う場所はもう、ここではない。」
「あなたは、ただ、心に居て」
「逢いたいならば声嗄らして、あった事、唄えばいい」

『逢いたい』と言える強さと『逢えない』ことを受け入れるやさしさ。
相反した切なさがたまらない。
この人の世界はこんなに優しくて深くて痛かったのかと。

最初の方に書いたとおり、彼は自分の理想の世界を構築する事が全てで
それはすなわち彼は彼の世界に独り閉じこもろうとしてるんだと。
そういうイメージがあったんだけど、このアルバムはもっと大きな世界を唄ってて、それは死とか絶望とか
そういうものが全てにおいてついてまわってるような曲が
とても多いんだけど、その世界にも光を見つける術を彼が知ったような、そんな風に思った。
切ない曲ばかりだけど、それはどれも決して悲観でも諦観でもなく
ただ、あるものを受け入れる強さと潔さ。
それから、優しさと生命力、というか熱を感じた。



0 件のコメント:

コメントを投稿