2006/10/29

フラワーカンパニーズ@SHIBUYA-AX

フラワーカンパニーズという37歳のおっさんバンドはインディーズである。
ブッキングから金の管理までマネージメントは全て自分達で行い、CDの流通は
自分達が立ち上げたレーベルで行い、機材車を自分で運転して日本中でライブをしている。
本当の意味での『インディーズ』だ。
いうなれば、例えばブラストーンとか、それこそ日本中のライブハウスで頑張ってる子達と同じだ。
そのバンドが、キャパ1500のAXでワンマンをやれるところまで登りつめた。

例えば今売れているバンドと言うのは、曲がいいことが大前提で、それを売ろうとする人たちがいる。
事務所やレコード会社がそのバンドを売るために頑張る。タイアップ取ったりCM流しまくったり金も労力も使う。
その結果、沢山の人がその曲を耳にして売れるわけだ。
売れればライブの動員も増える。そうやってレミオロメンとか、ほら、ね。
こなぁぁぁぁぁぁぁlゆきぃぃぃぃぃ(←結構すき

んで、フラカンはどうかというと。
ほんとに、『自分達の音楽だけ』でAX埋められるようになった。

機材車を自分達で走らせて日本中でライブをして、
それを見た地方のハコやイベンターが彼等を応援するようになった。
そうやって日本中に音楽を響かせて、ちょっとずつちょっとずつ動員増やしてここまできた。
今、星の数ほどいるバンドで、フラカンと同じ方法で登りつめることができるバンドは殆どいないと思う。
そこまでのタフさと強さを持つバンドはそうそういない。
それこそがフラカンの強さだと思うし、今まで培ってきたものだ。

そんなバンドがAXでワンマン。
失敗するはずがない。
自分達の音楽だけでそこにたどり着いてるんだから。
その大きなハコに負けるはずがない。
圧倒的に強いライブバンドだと思う。年間100本は伊達じゃない。
どの対バンにだって負けることはない、ような気がした。今日のライブを観る限りでは。


「深夜高速」は、この曲でフラカン好きになった人が凄く多いだろうって思うし
本当に評価が高い名曲で、いわばキラーチューンなんだろうけど
あろうことかワンマンライブだというのに普通の流れの中で演って、まずそれにびっくりした。
だけど、、ライブ終わってふと思えば「全部良かった」
とにかく全てが圧倒的だった。フラカンは別に「深夜高速」のバンドじゃない。
例えばJackson vibeの「Walk down a blidge」みたいにこの曲はここ、って、そういうキメがない。必要がないから。
特別な曲など一つもなく、全ての曲が特別だ。
「むきだしの赤い俺」も「ヒコーキ雲」も、出してからのキャリアを思わせる厚さが音にあった。
「ヒコーキ雲」ってこんなにぶっとい音だったっけ?と首傾げるくらいよかった。
小西さんのドラムの音は爆音で、「破れ傘の数え唄」のバスドラなんてほんとに凶暴だと思う。
時々走るけれど、そのごんぶとのグルーブがたまらない。
前川さんのベースラインは絶えず動いていて、プレイも動きすぎ(笑)
「ここはギターの見せ場だから」とか一切無視。
だけど、竹安さんのギターはそんなベースに負けてないので問題なし。
「波打ち際のバラード」とか、呆然と立ち尽くしてしまった。「巧い」ってこういうことを言うんだと思う。
んで、その3人のぶっとい音を背負って、圧倒的な存在感で立ってる鈴木さん。
この人の声は凄い。
言葉も曲も凄まじいと思うけど、その声に震えた。
「はじまりのシーン」と「発熱の男」で泣きそうになった。
詞が生々しいからとか、それだけじゃなく、この人の声の持つ生命力っつか、なんていえばいいんだろう。
「生きている人」の声に触れて泣きそうになった。

フラカンはモラトリアムの世界から不満を叫んだりは絶対にしない。
生きて、傷ついて、苦しんで、のたうちまわって、戦ったり負けたり逃げたりして、
自分に嘘をついたり誰かを傷つけたり自分を嫌いになっても、それでも生きている人の音楽をやってる。
だから誰も彼等の音楽に縋ることはたぶんできない。
だけど、その音楽と言葉は心に響く。
生きてる人には響く。どんだけ醜くても、生きることをやめない限りは響き渡る。
だから生々しくて、沢山の人の心に何かを残す。共感でも疑問でもなんでも。

彼等が放つ音楽は、誰もが持ってる生命力そのもののような気がする。
魂ごと捧げて音楽やってるような、フラカンにはそんな感じがする。
だからライブは誰もが全力で楽しんでるし、
日常に戻った時にまた戦える。


0 件のコメント:

コメントを投稿